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色んな泉州水なすがあったんです。伝統水なすとは?

大阪泉州名産の泉州水なす。

日本の水なす系品種の発祥の地にはかつてさまざまな土着の伝統水なすが存在していました。
そんな知られざる泉州水なすのルーツ伝統水なすをご紹介するページです。

なお大阪泉州地域のナスの歴史は非常に古く情報が乏しいのが現状です。
このページでは実際に伝統水なすと思われる品種を生産している生産者さんからの
お話しも踏まえ、新たなる伝統水なすの復活も視野にいれ紹介していきます。

伝統水なす

日本のナスの歴史は奈良時代(7世紀頃)にインドの僧が中国を経て日本に持ち込まれました。
その時代は奈須比(なすび)とよばれ、奈良県に平城京があった時代に栽培が始まったようです。

大阪泉州地域は、その時代、和泉国として栄え奈良平城京からの文化流入も盛んでした。
それを証明するかのように、大阪に存在する5つの国宝の内4つが大和川以南にあり、
上記したため池の数の多さに加え、ため池の歴史も日本最古(狭山池)級が多数存在します。

現代のように種苗屋が無い時代、農家はそれぞれ自家採種で次の年の

種を採っていました。そのため地域ごとに様々な姿形があり今よりも

いろんな種類の泉州水なすが存在していました。

【沢なす】

大阪府貝塚市の澤地区で栽培されていた澤なすは 水なすの原種の一つとされています。

今は貝塚市に一軒、和泉市に一軒の計2軒の農家さんが自家採種により澤なす近い系統種を栽培されています。
(ご本人いわく澤なすという確証は無いそうです)
※また本水なすという形で特定の漬物屋さんにのみ出荷されているとのことです。
2軒の農家さんはそれぞれで自家採種をされていて、だんだんと現在の泉州絹皮水なすに形質が似てきているとの事です。

2013年現在泉州地域で2軒の農家さんでのみ存在している貴重品種の一つです。

澤なす

澤なす※1の特徴は泉州水なすに比べ色が薄く、花が咲いて、その中から実が出てくる過程で
花びらが付いたままだと花びらをとってもその部分が日焼けし紫にならず、白いままだそうです。

肉質は泉州水なすに比べしっかりしていて、生で食べられ、果肉の甘みが非常に強い。

沢なす※1は、庭訓往来という室町時代の教科書にもその記述が存在するほど歴史が古く
その甘い果肉から、沢なすと書いて「ミツナス」と呼ばれていたそうです。

庭訓往来

庭訓往来の144ページ目右下に「沢茄子」の文字が存在しています。

また貝塚市には室町時代から現南海貝塚駅北側の願泉寺を中心とした寺内町が
発展しておりかつては貿易の中継地点としても栄えた歴史を持っています。

※1 沢なすという確証はなく、現在存在している沢なすとされる水なすは本水なすとして
一部漬物屋さんからのみ流通しています。

【馬場なす】

馬場ナスは貝塚市馬場地区で栽培されているもう一つの水ナスの原種。その種は門外不出。

地区の数軒の農家が自家採種により 栽培されています。

奥貝塚・彩の谷「たわわ」

の直売所ではシーズンになると購入可能です。しかし、近年の泉州水なす、馬場なす人気で時には
購入数制限がかかることもあるほど。

馬場なす

馬場なすの特徴は皮の柔らかさ、果肉の甘みは澤なす、皮の薄さは馬場なす。
食感は実に泉州水なすに近く生でサラダに十分使えます。

泉州水なすに比べ実は細長、長なすに似た形をしています。
写真にある馬場ナスは、貝塚市にあるたわわ農園の生産者さんにお分け
頂いたものですが、こちらはハウス栽培で少し大阪ナスにも形が似ていいますが、
よく見かける馬場なすはもう少しおしりに丸みがあります。

現在ではハウス栽培、露地栽培ともに少しずつ栽培面積を増やしていますが
まだまだ市場ではめったに目にすることはありません。

種のルーツは諸説あり、その一説では馬場地区に隣接する木積たけのこで有名な
貝塚市木積地区から種が復活したとの説もあります。

また木積地区には大阪で5つしか無い国宝の一つで大阪最古の木造建築「孝恩寺」も存在し
その歴史の古さは奈良時代にさかのぼります。

【生で食べられるサラダ水なす】 一般的な茄子は灰汁が多く生で食べる事はできませんが、泉州水なすは灰汁が少ないので 生で食べられます。ハウス栽培の水なすだと更に皮が薄く食べやすいです。絹水なすと 呼ばれ親しまれています。

【上之郷なす】

泉佐野市上之郷地区で栽培されていた品種の泉州水なす。

ことわざに「日根野あずきに上之郷なす・・」と出てくるそうですが詳細は不明。
存在したことは確か。

【樽井巾着なす】日本全体でも希少な巾着系統種

樽井巾着なすは大阪泉南市樽井地域でひっそりと種が繋がれていた泉州水なすの一種。

今は市場からも生産現場からも完全に姿を消しています。
泉州地域の古い漬物屋さんのお話では「実は浅漬けにすると一番うまいのは巾着水なすや」とのこと
しかし伝統品種のため漬けた巾着水ナスを取り出した際の色艶の悪さから現在の水ナスブランドの
系統選抜からは外されてしまったとのこと。

樽井巾着なすの種

樽井巾着茄子の種

貴重な樽井巾着なすの種は大阪府泉州農と緑の総合事務所の
職員さんの一人が大切に保管していたものが残っているのみとなっています。

また北野農園では2014年度生産において樽井巾着水なすの復活を目指し
3月より播種し栽培に取り組んでいます。

樽井巾着5月中旬の様子
2014年5月中旬の様子

巾着なすの系統は新潟県に長岡巾着なす(亀田巾着)、魚沼巾着なすが存在しますが
どちらも生食向きではなく樽井巾着なすとは少し違うのかもしれない。
元々新潟の梨なすや十全、八石なすなどは泉州水なす系で生でも食せるそうですが
新潟の巾着なすは露地栽培が主との事で現代の泉州水ナス栽培ノウハウで復活させた時の
食味がどのようなものか興味深い。

またそれ以外の巾着系の泉州水なすのルーツとして「きん着水なす」と
記述している資料もあります。
※樽井巾着なすとは別のルーツ。

いずれにしてもかつて大阪泉州には多様な水ナスの系統が存在していた事は間違いない。